9月21日(金)

最近、昼間に会社の外でゆっくりご飯が食べられない。なかなか終わらない歯医者の治療のあと、いきつけの酒屋さんのお弁当を買って机で仕事をしながら食べる。仕事をしながら食べると何を食べているか分からなくなって、さらに後々何を食べたか忘れてしまう。
土曜も出勤するつもりで18時に仕事を切り上げ、新宿紀伊国屋ホールの「生きさせろ!集会」へ。一緒に行くはずだったFJが仕事で急遽来られなくなってしまったので、予約をキャンセルするのも悪いかなと思って何人かに声をかけたが、さすがに直前で来る人はいなかった。会場はほぼ満席。年齢層もバラバラ。紀伊国屋ホールということもあるけど小熊英二効果なのか年配の方が多かったような気がする。
内容は3部構成で、すべて雨宮処凛が司会をつとめた。1部はフリーターや派遣の若年向け労働組合の代表3人がそれぞれの活動、労働組合の仕組み等について紹介していて、主に若い人に向けた労組の紹介という内容だった(おじさん達)。2部は、1部の労組などと異なる支援をしている組織や、実際に当事者として戦った人や、騒ぎを起こしてる人(素人の乱)がどんな活動をしているのかといった紹介が行われた(わかもの達)。3部は小熊英二による歴史的に見た社会保障制度等の解説等と、若年層の雇用不安定化にともなう日本の社会情勢についての私見や自分がプレカリアートの動きに興味をもっているか等について述べられた(学者ときどきアーティスト)。
小熊さんは、お得意の歴史社会学的な常識の相対化を行いつつ(いかに戦争のために社会保障政策が進められてきたかや、この30年は世界的にも歴史的にも異常な30年だったのです!的な)、「欧米では30年前から雇用不安定化によって治安の悪化とドラッグの蔓延が起きており、日本も遅れてその時を迎えつつある。その中で若年層をサポートしていく労組やNPOの存在は意義がある。かつてはさまざまなしがらみによって成熟できなかった社会運動も今ならば成熟していけるのではないかと思って興味を抱いている」みたいなことを言っていた。本気で言っているのかなぁと言っていた人もいたけど、僕はそれなりに腑に落ちる話しだった(小熊さんはマイクを持つと基本オーバーアクションになるのである意味アジテーションにも見えてしまう)。まあ雨宮さんのことが好きなんんじゃないかという思いは変わらなかった。
ちなみに、1部のおじさん達はともかくとして(長く戦ってきた戦士って感じ)、2部のわかもの達は、みんなとても話しがうまかった。とりわけ、ホームレスになって「もやい」で支援をうけ、その後支援をする側のスタッフになったという経歴の持ち主の富樫さんは素晴らしかった*1。だからどちらかというと支援している人々よりも(なんでそういう支援をしているのかというバックグラウンドに興味はあるけど)、劣悪な状況をストラッグルしてきた人々の話の方が、言葉に生き抜く力強さを感じられた*2。こういった一番地面に近くて力強い言葉が最近好きだ。それから出席者唯一の女性で司会として会場をあたため続けた雨宮さんは、初めて生で見たけれど、予想を超えるとてもバランスのとれた人だった。

つづく(閉じられた言葉としてのサブカル用語と、知的好奇心をくすぐる固有名詞について)

*1:僕も路頭に迷ったらぜひお世話になりたい

*2:共通しているのは、ただ苦労したという話しではなくてユーモアがあるということ